家の前にトラックが停まった。 旦那、「あのトラック、うちのか?」 私、「違うんじゃないの」 旦那、「そうだよな。塗装業者さんの車ではないよな」 私、「うちの前に停めてもらったら困るわ、塗装業者さんが来るのに」 旦那、「うちの前に停めるって、非常識なトラックだな」 家の塗り替えをする塗装業者さんが来る時間だったため、家の前に停まったトラックを注意しに行こうと家を出ようとすると、家の外からバタンバタンと大きな音が聞こえて来た。 旦那、「何事だ?」 玄関ドアの覗き窓から外を見た旦那、「なんだ、あのトラック、うちのだ。足場をつくりに来たんだ」 家の外から聞こえたバタンバタンは、トラックから足場を降ろす音だった。 私、「挨拶をしたほうが良いかしら?」 旦那、「それはしたほうが良いだろ」 私、「でも、塗装業者さんにお出しするお菓子しか買ってないわよ」 旦那、「だったら挨拶はやめておくか」 家の中から外を見ていると、「ピンポーン」と玄関チャイムが鳴った。 私、「出たほうが良いかしら?」 旦那、「俺が出るよ」 女の私が出ると、足場を組んでくれる業者さんにお茶を出さなくてはならなくなるが、旦那が出れば、お茶を出すことは期待されないで済む。 旦那が戻って来たため 私、「何だって?」 旦那、「足場を組むのに、午前中いっぱい掛かるそうだ」 私、「午前中だけで足場が組めるの?」 旦那、「らしいよ」 午後には他で足場を組むらしく、午前中だけで足場を組むために業者さんはテキパキ働いている。 私、「お茶を出してあげようか?」 旦那、「そうだな。お茶菓子も出してあげて」 足場を組む業者さんが帰ってから、私は塗装業者さんにお出しするお茶菓子を買いに行った。 翌日 私、「塗装業者さん来ないわね」 旦那、「雨が降ってるからだよ」 次の日 私、「塗装業者さん、今日も来ないのかな?」 旦那、「暫く雨が降るらしいぞ」 塗装業者さんにお出しするつもりだったお茶菓子は、私が食べた。 家の塗り替えが始まって1週間後 私、「職人さん達、誰もお茶菓子を食べてくれないわね」 旦那、「口に合わないんだよ」 翌日、賞味期限が1日しか持たない和菓子を塗装業者さんにお出しすると、食べてくれた。 旦那、「日持ちするモノは食べないんだよ」 私、「〇〇のお饅頭を買って来るわ」 しかし、雨が降って、〇〇のお饅頭は夫婦で食べた。